同人誌の作り方の基本を学ぼう。注意点や初心者がやりがちな失敗も解説
同人誌を初めて作成する人は、予約の仕方やデータの作り方で戸惑うことも多いでしょう。同人誌は基本的に、印刷所を選んで、その印刷所の様式に従って作成していけば失敗がありません。
ただし、印刷所によっては、デジタル原稿の印刷は不可ということもあります。さらに、奥付をつけなくてはならないといった初心者が知らない独自なルールもあります。
同人誌の作り方の基本を学んでいきましょう。
目次
同人誌の作り方
同人誌を作るのが初めての方は、作り方で戸惑うことも多いはずです。用意すべきものや流れを確認していきましょう。
同人誌を作成するならば、原稿の形式と印刷依頼方法を決めておかなくてはなりません。
デジタル原稿とアナログ原稿のどちらにするか?を決めておく
同人誌の原稿の作り方には、以下の2つがあります。
・デジタル原稿・・・パソコンなどのデジタル機器を利用して作成する。
あるいは、手書きの原稿をパソコンに取り込みデジタル化して作成する。
・アナログ原稿・・・紙とペンを使用し、手書きで原稿を作成する。
最近は、デジタル原稿を作成する人が増えてきています。そのため、一部の印刷所では、アナログ原稿は受けつけていないこともあります。
アナログ原稿で作品を作っているのならば、アナログでも印刷・製本可の業者を探す必要があります。もしも、アナログ可の印刷所がなければ、デジタル化する方法を考えておきましょう。
印刷・製本依頼方法を決めておく
同人誌の印刷・製本依頼方法には、以下の2つがあります。
・予約型・・・原稿作成よりも先に印刷・製本の予約をする方法
・印刷通販型・・・原稿が完成してから印刷・製本を依頼する方法
予約型を選択した場合は、印刷所の「どのプランを使うか」ということと「おおまかな本のページ数」を伝えて、予約をします。予約型ならば、原稿が真っ白でもおおよそのページ数が決まっていれば依頼が可能です。
入稿の締め切りを印刷所から伝えられるので、その日に向けて、原稿を作成していくことになります。
印刷通販型は、注文した日に入稿しなくてはならないのが特徴です。注文と入稿がセットになっているので、注文段階では原稿が完全に完成していなくてはなりません。
入稿の締め切りを印刷所から伝えられることはありませんので、完全に自分のペースで締め切りを決定して、原稿を書いていくことができます。
準備しておくもの
準備しておくものとしては、以下の通りです。
・印刷費用
・銀行口座やメールアドレス
・原稿(予約型なら完成していなくても可)
・パソコン(デジタル原稿にする場合)
同人誌を作成する場合は、印刷費用が必要になります。印刷業者に依頼する場合、費用は基本的に前払いになります。もしも、お金の準備ができていなかったのならば、印刷してもらえない可能性もあります。
さらに、発注するときには、同人誌がどれくらいのページ数になるのか、形式はどうするのかを伝えなくてはなりません。ですので、だいたいの原稿のページ数や様式を決めておきましょう。
同人誌作成の基本の流れ
同人誌作成のおおまかな流れは以下の通りです。
印刷所を決める
同人誌を作る場合、まずは自分がどの印刷所を使うかを決めましょう。自分が作りたい方法で製本をできる印刷所や評判のよい業者を選ぶようにします。
予約型の印刷所を選択したならば予約する
予約型の印刷所を選んだのならば、この段階で予約をします。予約をすると締め切り日を伝えられるので、その日に間に合うように原稿を作成しましょう。
原稿を用意する
原稿を作っていきます。一般的には、A5サイズで原稿を作成していきますが、印刷所ごとに仕様は異なります。事前に印刷所に確認し、決められた大きさで原稿を作ります。
印刷通販型を選択したなら、ここで印刷所に依頼をする
印刷通販型は、注文した日に入稿しなくてはならないのが特徴です。ですので、原稿が完成したこの段階で注文依頼をしましょう。
実物を受け取る
製本された実物を受け取ります。本の送り先は、自宅かイベント会場のどちらかを選ぶことができます。
同人誌を作るときの注意点
同人誌を作るときの注意点は、印刷所のルールを確認しておくということがあります。
印刷所ならば、どのような原稿でも受け付けてもらえると考えてしまいがちです。
しかし、印刷所で受け付けているサイズや色は決まっています。どこの印刷所に頼むか決めたら、そこのルールに則って原稿作成をするようにしましょう。
特に、アナログで制作する場合は、「アナログでも受け付けているか」の確認は重要です。せっかくの原稿が台無しにならないように、きちんと印刷所の様式を確認しておきましょう。
印刷所によっては、対応可能ソフトにも違いがあります。印刷所が対応可能なソフト形式で入稿しましょう。
同人誌作成の初心者がやりがちな失敗3つ
同人誌作成の初心者がやってしまいがちな失敗は以下のようなものがあります。
奥付をつけ忘れた
同人誌は、本の最後に奥付をつけておかなくてはなりません。奥付とは、その本を誰が作成したものであるかを表すものです。
同人誌は、二次創作の著作権問題などもあるので、誰の責任でその同人誌を発行したのかを明らかにしておき、責任を持って同人活動をしていることをアピールしなくてはなりません。
同人誌のイベントによっては、奥付のない同人誌は販売禁止のこともあるので、付け忘れないようにしましょう。
ページ番号をつけ忘れた
ノンブルと言われるページ番号をすべてのページに入れるようにしましょう。ページ番号をつけておけば、ページ数が乱れてしまう乱丁(らんちょう)やページ数が足りない落丁(らくちょう)を防ぐこともできます。
解像度が低かった
モノクロ原稿にせよカラー原稿にせよ、データには解像度が存在します。解像度が低すぎると、完成した同人誌の絵や文字のイメージが異なってしまう可能性があるのです。
ただし、解像度が高すぎても、「データが重いので印刷できません」と印刷所から製本を断られる可能性もあります。利用する印刷所の推奨解像度に合うように解像度を設定しましょう。
実際に同人誌を出版した人の失敗談
初めて同人誌を出したときの話です。
印刷所選びのとき、安価な印刷所になびきそうになりましたが、初心者なんだからと無難に大手出版社に頼みました。費用高くて痛いな、と思いましたが、この判断は正解でした。四苦八苦しつつ無事入稿後、印刷所から連絡があったのですが、なんと表紙の文字の綴りミスが発覚。かなり焦ったのですが、なんと印刷所さん側のご厚意で目立たないよう修正してくれました。本当に神対応。その他にも、知らない用語を丁寧に説明してくれたり、何度も確認してくれたりと手厚くサポートしてくれました。そんな印刷所の協力もあり初めての同人誌は無事完成。完売もして、かなり嬉しかったです。
同人誌を始めて作ろうと思っている人は、大手印刷所を選んだ方が絶対安心だと思います!(もちろん、大手さんでも評判・評価はしっかり調べた方がいいです)(女性・フリーター 依頼方法:デジタル原稿・予約型)
入稿の締め切りがギリギリとなってしまい失敗した経験があります。時間がなくて睡眠時間も削っていた頭では入稿データの最終確認がしっかりできていませんでした。
実際のページとデータにつけた名前のページ番号がズレてしまっていました。
自分はちゃんと確認したつもりだったのに入稿して印刷会社の担当さんから連絡がくるまで気付きませんでした。
その時はデータとページ数を確認していただくことができて無事本になりました。その時はたまたま担当の方が気付いて下さったのと、データ自体はそろっていたのでなんとかなりました。
入稿データが完成したら、一回食事や睡眠をとって休憩した後で最終確認作業をするくらいの余裕を持ったスケジュール管理が本当に大事です。(女性・会社員 依頼方法:デジタル原稿・印刷通販型)
失敗談はSNSに掲載した作品を再収録した形で同人誌を作成したのですが、印刷が終わって手元に作品がきた時に全年齢向けで告知していたにも関わらず、R18の内容を一部いれてしまっていたことです。入稿前にチェックもしていたのですが、何故かその時は成人向けの作品を認識していませんでした。もちろん表紙にも「成人向け」などの文言はないため、お詫びと表紙に成人向けであることがわかるシールを後付けで貼るなどの行いました。完全に私のミスなのですが、成人向け・全年齢向けどちらも描かれる方は多いと思いますので、私と同じ轍は踏まない様、入稿前は余裕を持って複数回のチェックに加え、チェックリストなどを予め用意して、それを潰す形確認することをオススメいたしたいです。(会社員 依頼方法:デジタル原稿・予約型)
印刷を発注するときはルールに従おう
印刷を発注する場合は、印刷所が定めた「原稿の形式や注文の方法」をきちんと守る必要があります。原稿を作り始める前に、どこの印刷所に依頼をするかを決めておき、形式を守って印刷しましょう。
また、一度、製本を依頼したのならば途中で部数や仕様などを変更できませんし、締め切りを勝手に延ばすこともできません。発注後の変更は作業の混乱を招きトラブルの元となりますし、印刷所に不利益を与えてしまいます。
トラブルについては対応策もこちらの記事で詳しく解説していますので、発注前に必ず読んでおくことをおすすめいたします。
意外と怖い自費出版? 実際にあったトラブルから対応策を考えよう
やむをえない事情がない限り、原稿の内容を変更しないようにしましょう。
次に、同人誌であっても出版をしてはならないものがあることを知っておきましょう。刑法175条のわいせつ物頒布罪によって、過度に猟奇的・残虐な表現がほとんどを占める作品は頒布を行ってはいけないことになっています。
自身の作品が法律に抵触するような内容ではないかの確認もしっかりと行っておきましょう。
また、同人誌小説のフォントの決め方はこちらの記事で詳しく解説しています。同人誌を作ると決めたら、事前知識として読んでみてください。
同人誌で小説を作るときのフォントはどれがいい?決め方のコツ
同人誌の表紙レイアウトの決め方と作り方はこちらの記事で詳しく解説しています。
失敗しない同人誌の表紙レイアウトの決め方と作り方のコツ
同人誌の締め切りの考え方や注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。
同人誌の締め切りはいつ?納期の考え方や注意点を解説
同人誌の発行部数の決め方はこちらの記事で詳しく解説しています。
はじめてでも失敗しない!同人誌の発行部数の決め方
実際に同人誌を出版した人からのアドバイス
最後に、実際に印刷所に製本を依頼し同人誌を出版した人たちからのアドバイスを紹介します。
印刷所の具体的な選び方や実際に印刷する際の注意点などが書かれているので参考にしてみてください。
一昔前と違って、デザイン制作や校正、微調整などをすべて実施してくれるサービスもあるので、かなり敷居が低くなったと思います。初心者でも扱いやすいし、パッと見の出来栄えはプロの製本と同じです。とりあえず、お試しで印刷依頼するのもアリだと思います。注意点もいくつかあります。印刷工程をメールや電話で伝えてくれますが、印刷の配色具合が業者や使用している材質によってイメージと大きく違う場合があります。また、スマホでのプレビューでも色合いが微妙に違います。また、印刷会社によって、得意、不得意の印刷がある点も要注意です。できれば、印刷した実物例を見れる業者に依頼したほうが間違いがないです。また、見本データの通りに出力されていない場合も多々あるので、送られて来たデーターは要確認です。(男性・自営業 依頼方法:デジタル原稿・印刷通販型)
いつも印刷通販型を利用して同人誌の発行を行っています。このスタイルだとじっくりと原稿の校正を行ってから製本へとステップを進めるため、限りなく理想そのままの同人誌を世に放てるところが良いと感じています。ところが以前は早く自分の同人誌を販売したいという気持ちが先に立ってしまい、予約型を1度だけ選んだことがありました。この際に大きな失敗をしてしまい、コミケで自分の同人誌を販売できないという今でも思い出したくない過去があります。販売できなかった理由は原稿が印刷予定日までに仕上がらず、何度も日にち変更を行ったからです。挙句には作品の誤字脱字も構成しないまま焦って印刷・製本を終え、とても応援してくださっている方に販売できるものではありませんでした。これから同人誌を初めて印刷・製本しようという方がいたら、まずはゆっくりと時間に余裕を持てる印刷通販型をおすすめします。(女性・会社員 依頼方法:デジタル原稿・印刷通販型)
同人誌を印刷する時は、早割を使うとかなら安く刷れます。原稿を1ヶ月以上早く入稿することなのですが、原稿に余裕がある人はぜひ使ってみてください。私はいつもこれで一万円くらい安く印刷できています。慣れない頃は部数がわからずに余らせてしまったり、原稿のレイアウトがわからなくてパニックになったりしましたが、数回やると慣れます。わからないことがあったら印刷所の方に聞くと丁寧に教えてくれるのでなんでも聞いてみるといいと思います。特殊加工などはわからないままやると失敗するので、慣れてからがおすすめです。私はいつもスタンダードな加工で安く済ませるようにしています。本作りはとても楽しいです!ぜひチャレンジにて見て欲しいと思います。(女性・会社員 依頼方法:デジタル原稿・予約型)
まとめ:同人誌作りのスタートは印刷所選びから
同人誌を作成したいのならば、まずは印刷所を選びましょう。自身が作りたい原稿のおおまかなアウトラインを決めて置き、その本を作ることができそうな印刷所を選びます。
印刷所ごとに、デジタル原稿の印刷は不可といった様式のルールがあります。しっかりと様式のルールを把握して、同人誌を作っていくようにしましょう。
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当社が選ばれる3つのポイント
※最短仕上げをご希望の場合、弊社在庫にある紙での製本となり完全データで入稿の場合のみ対応いたします。
弊社にてデータの修正・色校・特殊加工がある場合はこの限りではありませんのでご了承ください。
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