書店でいろいろな本を見てみると、少し凹凸のついたデザインの表紙、きれいな写真が印刷された表紙など、多種多様な本が並んでいます。手にとってページをくってみても、少し厚みのある紙であったり、つやつやした紙であったり、その感触は実にさまざまです。あなたの本は、どんな素材が適しているのでしょうか。
どんな種類の本が作りたいのか
「紙の本」という形に仕立てるとき、どういう用紙を使うか、どういう印刷にするかといったことは、本の質を高めるうえで非常に重要な要素です。もちろん、本の内容がいいものであるということが前提ですが、内容がよければそれでいいというわけではないのです。Webサイトや電子書籍との大きな違いでもあります。 どんなに内容がいい本でも、ペラペラの紙が使われていたり、印刷があまりきれいでなかったりすれば、安っぽいイメージに受け取られてしまいます。
書店に並んでいても、手にとってもらうことすら難しくなるかもしれません。自費出版でもそれは同じことです。夢や熱意、大事な作品を込めた本ですから、その質感はより重要になるともいえます。 だからといって、とにかく豪華にすればいいというわけではありません。本の内容や目的と、そのために必要な見た目や手触りの組み合わせがマッチしていることが大切です。
紙質によって得意不得意がある
本の内容によって読みやすい判型や文字サイズがあるように、紙の質にも内容や用途によって向き不向きがあります。現在はさまざまな用紙の種類がありますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
コート紙
紙の表面にコート剤と呼ばれる塗料を塗っています。普通の紙と比べると、つやがあってなめらかです。発色がよく、カラー印刷に適しています。上質や中質、軽量などの種類があり、上質コート紙は書籍の表紙やカタログなどに多く使われています。
アート紙
こちらもやはり、紙に塗装してなめらかな質感に仕上げています。コート紙よりも光沢が強く、より高級とされる用紙です。発色がよく、写真や絵画などのきれいな印刷が求められる書籍や、アート関連の印刷物に多く使用されます。
上質紙
コピー用紙の多くにも使われる白い紙です。表面に塗装加工などをしておらず、光沢がほとんどありません。文字は読みやすいです。
書籍用紙
上質紙に近い紙質で、やわらかい質感です。文字を読みやすくするために薄いクリーム色がついています。文字の多い書籍の本文ページに多く使われます。 こうした用紙を、用途と費用に応じて使い分けることで、本の質やイメージをより高めることができるのです。こうしたところも的確にアドバイスしてくれる会社に依頼できると安心です。
出版サービスにも得意不得意がある
用紙にも向き不向きがあるように、自費出版サービス、サービスを運営する会社にも得意・不得意があります。 ある出版社は、小説や実用書の出版を得意としています。文章主体の読み物の編集や校正にすぐれた力があり、読みやすい文字組みにするデザイナーや、小説に合ったイラストレーターを提案してくれたりします。 別の出版社は、写真の印刷に定評があります。写真ならではの印刷や色の再現といったことへの目配せは評価が高く、安心してまかせられます。
プロのカメラマンを紹介することも可能です。 印刷会社と組んでサービスを提供している会社は、印刷技術や用紙のバリエーションを売りにしています。紙質や印刷方式の選択肢も豊富で、リーズナブルな印刷を行うことができます。装丁・デザインのカスタマイズも得意です。 こうした会社を見極めて自分に適したところを選ぶには、まずはその会社が出している本を見てみるのがいいでしょう。これまでの実績を聞くのはもちろん、会社を訪れて本棚を見てみるのも有効です。
出版社であれば、商業出版の出版物も参考になります。 そして、自費出版で発刊された本にたくさんふれてみること。近年は個人出版の即売会なども多く開催されています。そうしたところに行っていろいろな本を見てみることで、仕上がりに対する感覚が養われますし、サービスを紹介してもらうこともできるかもしれません。
まとめ
どのような本を出版するかはそのつど異なるものです。どの用紙、どのサービスが適しているかも、そのときそのときで異なります。内容や目的だけでなく、予算によっても選択肢が変わってきます。 いろいろな選択肢から探し出すのは大変ですが、その工程も楽しめるのが自費出版のいいところでもあります。最後に思いどおりの本を手にするときの満足感も、書籍ならでは。納得のいくまで探してみてください。