漫画を描くことが好きで、作品を描きためてきている人も多くいるでしょう。
漫画を多くの人に読んでもらうには、漫画雑誌に作品を持ち込んだり投稿したりして、編集者の目に留まって、雑誌掲載されなくてはならない、と思っている人も少なくないはずです。
しかし、最近は、大手の出版社などを通さずに、自費出版をし、注目を集めてプロデビューした漫画家も少なくありません。
たとえば、めぞん一刻やらんま1/2で知られる高橋留美子さんも、自費出版されていた同人誌が注目されて、プロ漫画家になった一人です。
漫画の自費出版方法を確認していきましょう。
目次
自分で描いた漫画を自費出版するには?
漫画を自費出版するには、以下のステップを踏む必要があります。
出版相談
どんな漫画にするのか、大きさはどうするか、予算はいくらまでならば出せるか、といったことを漠然と決めてから、出版社に相談をします。
編集企画
出版社と編集の相談をします。実際の用紙を見せてもらったりして、自身が満足できる仕上がりの本を出せるのか、予算内で漫画が出せるかを相談し、出版の企画を立てていきます。
この段階で、具体的なページ数や大きさが決定します。
漫画を執筆、制作
編集企画で決定したページ数にあわせて、実際に出版する漫画の原稿作りをします。
編集
完成した原稿を、出版社が仕様やページ数などにあわせて、印刷できる原稿に仕上げていきます。
装丁のデザイン決定
本のカバーや表紙などを作っていきます。
校正→校了
印刷するページの見本が届きます。絵が潰れていないか、誤字脱字がないかを確認します。
印刷・製本
印刷所に原稿を送り、印刷が始まります。業者によっては、印刷に立会うこともできます。印刷後の製本作業を経て、漫画が完成します。
漫画の自費出版にかかる平均費用
漫画の自費出版費用は、その漫画の長さによっても異なります。ですので、明確にいくらかを断言するのは難しいですが、制作費用は、並製本で50万円~100万円、上製本で70万円~150万円が平均的です。
漫画を自費出版にするメリット
漫画を自費出版するのは、かなりお金がかかります。しかし、以下のようなメリットもあるのです。
自分の好みの内容で出版できる
商業出版をする場合は、必ず担当者がつきます。担当者は漫画家と二人三脚で努力をしてくれる存在ですが、「こんな表現はすべきではない」「この作品は売れそうだから、引き伸ばすようにしてほしい」といった注文をつけてくることもあります。
「こんな話にはしたくなかった」「この表現を使いたかった」と思いつつも、担当者の言う通りに描き直さねばならないこともあります。
その点、自費出版であれば、誰の指図も受けずに、自分の思うように描くことができます。自分の趣味を前面に出してもよい魅力があるのです。
実績が増えて、プロへの近道になる
漫画家としてデビューするには、出版社に漫画を持ち込んだり賞に応募したりして、売り込みをかけなくてはなりません。このときに、自費出版をしていたらプロとしてみてもらえるというメリットがあります。
自費出版した本を持っていき、アピールをかけることもできるのです。
売り込みの際に一目を置いてもらうことができ、デビューへの近道になることもあるのです。
販売することでより多くの人に知ってもらえる
自費出版をすれば、多くの人の目に留まる可能性が高まります。広く多くの人に自分の作品を知ってもらうきっかけとなります。
内容が良ければ、SNSで拡散されて、自分を売り込む強力なツールとして活用できる可能性もあるのです。
自費出版にするデメリットもないわけではない
自費出版には、デメリットもあります。それは、費用が割高になる可能性があるということです。完成したときの装丁にこだわりすぎて、予算を大幅に超えてしまうこともあるのです。
事前に予算をしっかりと決めておき、ある程度は妥協していくことも大切になるでしょう。
また、自費出版は商業出版のように大々的に宣伝をしてもらえません。書店の目立たない場所に置かれる可能性もありますし、宣伝をしても無名の状態では興味を持ってもらえず、思うように売れるとは限りません。
赤字を抱えて大量に刷ったのに、まったく売れずに、在庫を抱えることになります。在庫を置くために倉庫を借りる必要が発生する可能性もあり、この場合はよりお金がかかってきます。
また、自費出版によくあるトラブルをこちらの記事でまとめています。ぜひあわせてご覧ください。
意外と怖い自費出版? 実際にあったトラブルから対応策を考えよう
より多くの人に漫画を読んでもらうには?
無名の状態では、せっかくの漫画を多くの人に読んでもらえない可能性もあります。漫画をより多くの人に読んでもらうには以下のような方法を試してみましょう。
電子書籍版も出す
最近、AmazonのKindleなど、電子書籍がかなり普及してきています。電子書籍は、専用の電子書籍リーダーやパソコンやスマートフォンを活用して読みますから、ペーパーレスで済みます。
そのため、紙の書籍よりも費用をおさえて販売できます。電子データなので、在庫を抱える可能性も低くなります。さらに、電子書籍を販売しているサイトによっては、おすすめ本として紹介してもらえることもあるので、多くの人に関心を持ってもらえます。
Amazonで自費出版の本を販売する方法はこちらの記事をご覧ください。
自費出版した本をAmazonで販売する方法とは?出品方法~注意点を解説
SNSで一部を無料で公開する
SNSで原稿の一部を公開してみるのも、作品を知ってもらう手段です。特に、おすすめのSNSがTwitterです。
Twitterで、「○○な女の子が××する話」といったキーワードとともに、漫画の一部が流れてくるのを目にした人も少なくないのではないでしょうか? たとえば、販売方法が問題にもなった「100日後に死ぬワニ」もTwitterで話題になったことをきっかけに著名になりましたよね?
Twitterでは漫画作品が話題になりやすいので、アカウントを作って、自費出版した作品の序盤などを公開してみましょう。興味を持った人が、書籍を購入してくれる可能性もあります。
漫画投稿サイトを活用する
Pixivなど、無料で漫画やイラストを公開できるプラットフォームは少なくありません。このようなサービスには、クリエイターを目指している漫画好きな人が集まる場所ですので、反応が期待しやすいです。
イラストなどを投稿すれば、興味を持ってもらうことができ、漫画を購入してもらえる可能性が高まります。
まとめ:デメリットもきちんと理解して漫画を自費出版してみよう!
漫画を自費出版すると、編集者の目に留まってプロデビューできる可能性もありますし、自分の作品を書籍化する楽しさがあります。さらに、商業出版と違って、完全に自分の趣味や好みで漫画を描ける喜びもあるでしょう。
これから同人誌を作る方は、まずはこちらの記事ををご覧ください。
同人誌の作り方の基本を学ぼう。注意点や初心者がやりがちな失敗も解説
ただし、漫画の自費出版にはお金もかかりますし、売れずに在庫を抱える可能性もあります。このようなデメリットもきちんと意識して、自費出版をしてみてくださいね。