本の即売会に出店する人の半数は印刷部数50冊以内!販売利益より「こだわり本」を作ることを重視

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本の即売会に出店する人の半数は印刷部数50冊以内!販売利益より「こだわり本」を作ることを重視

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「ニシダ印刷製本」では、本を自主制作したことがある人を対象にオンデマンド印刷・ネット印刷サービスに関するアンケート調査を実施いたしました。

【アンケート結果要約】

①本ジャンルは「漫画本、絵本」が最多。きっかけはさまざま
②コミケや文学フリマに出店の場合、半数が50冊以内で印刷
③利用した印刷サービスランキング1位は「しまうま出版」

【調査概要】

・調査対象:本を自主制作したことがある人
・調査地域:全国
・調査期間:2024年10月8日~2024年10月22日
・調査方法:クラウドソーシングサービスを利用し回答を収集
・回答数 :300件

本ジャンルは「漫画本、絵本」が最多。きっかけはさまざま

「自主制作した本のジャンルはどちらですか?(複数ある方は直近のものを選択してください)」という質問では、「漫画本、絵本」が最多となりました。

以下にグラフとランキング形式で結果をご紹介します。


図表1:自主制作した本のジャンル

【自主制作した本のジャンルランキング】

第1位 漫画本、絵本(109票)

第2位 写真集、画集(70票)

第3位 小説、エッセイ、旅行記(53票)

「漫画本、絵本」は総数の1/3以上を占めました。それに続く2位、3位についても自身の撮影した写真や自分で描いたイラスト、自作の文学作品など、創作したものを手にとれるかたちで残しておくために本を自主制作する人が多いようです。

自分で本を作る、と聞いて真っ先にイメージされるのは、やはりコミックマーケットや文学フリマなどの即売会への出店ではないでしょうか。そこで次に「本を自主制作したきっかけを教えてください」という質問項目について見てみましょう。


図表2:本を自主制作したきっかけ

【本を自主制作したきっかけランキング】

第1位 コミックマーケットや文学フリマなどへの出店(99票)

第2位 個人やグループ活動の思い出、知人への配布(94票)

第3位 出版社への売り込み(商業出版に向けた制作)(91票)

図表2を見るとわかる通り、「コミックマーケットや文学フリマなどへの出店」は最多ではあるものの、他の選択肢と大きく差がつきませんでした。3位にランクインした「出版社への売り込み(商業出版に向けた制作)」とあわせると、約2/3の人が何らか自分自身の作品を世に広めたい、という目的で自主制作していることがわかります。

しかし残りの1/3の人は「個人やグループ活動の思い出、知人への配布」と回答しており、あくまで活動の思い出や記念として印刷・製本しています。製本するからといって必ずしも作ったものを販売することにつなげているわけではないのです。

コミケや文学フリマに出店の場合、半数が50冊以内で印刷

つづいて「印刷部数はどれくらいですか?(初版分のみ)」の質問について見てみましょう。もっとも多い回答は「101~300部」(115票)となり、300よりも多い部数は全体で13票と少ない結果になりました。


図表3:印刷部数(全体)

自主制作本の場合、目的を問わず300部以下で印刷する人が多い結果になりました。「個人やグループ活動の思い出、知人への配布」が目的の場合はグループのメンバーや配布予定の知人の数によって印刷部数が決まりますが、おおむね300名には収まるようです。

大きな学会などでの配布は例外になりますが、300部よりも多い量で製本する場合、記念や思い出よりも販売がメインの目的であることが考えられます。販売目的で本を作るときには在庫を抱えるリスクがありますから、たとえば「300部は確実に売れる」といった見込みが立たないとなかなか踏ん切りがつきません。

300部を確実に売り切れるような作家ならば、自主制作でなく出版社を介して販売する可能性も大きくなってきます。また個人で300部を売りさばくというのは、置いてもらう書店とのやりとりなども含めて負荷が大きく大変です。結果として、自主制作で作るのはだいたい300部くらい(初版分)まで……と考えられます。

なお「コミックマーケットや文学フリマなどへの出店」を目的とした人の回答に絞って印刷部数を見てみると、半数以上が50部以下という結果になりました。


図表4:印刷部数(「コミックマーケットや文学フリマなどへの出店」のため印刷した人)

即売会に出店して本を販売することを目的とする場合でも、たくさん作ってたくさん売る、という意気込みではなく、現実的に売り切ることができそうな部数に絞って作る人が多いようです。たとえば50部よりも300部作ったほうが一冊あたりの単価は下げられますが、利益率を上げることよりもきちんと売り切ることのほうが重視されているのです。

初版分が売り切れてしまっても増刷はできますし、一度完売したことで箔がついてより多くの人に手にとってもらえる可能性もあります。インターネットを使って個人でかんたんに印刷発注でき、少部数からの印刷に対応しているサービスも多くなっているため、一回あたりの印刷部数は少数化の傾向にあるかもしれません。

利用した印刷サービスランキング1位は「しまうま出版」

最後に、本を自主制作をする方々に人気の印刷サービスランキングを見てみましょう。

なお、印刷サービスのラインアップについては「自主制作本 ネット印刷」で検索した結果の1ページ目に上がっていた企業(調査当時)+ニシダ印刷製本(弊社)を対象にアンケートをとりました。

以下にグラフとランキング形式で結果をご紹介します。


図表5:印刷で利用したサービス

【印刷で利用したサービスランキング】

第1位 しまうま出版(64票)

第2位 冊子製本キング(62票)

第2位 グラフィック(62票)

第3位 その他(36票)

第4位 製本直送.com(25票)

第5位 ニシダ印刷製本(20票)

第6位 イシダ印刷(12票)

第7位 緑陽社(9票)

第8位 ブックホン(5票)

第9位 ガップリ!(4票)

第10位 ウエーブ(1票)

僅差ではありますが、1位は「しまうま出版」、同率2位が「冊子製本キング」と「グラフィック」という結果になりました。なお、3位にランクインしたその他の内訳として多かった回答は「プリントパック」(5票)、「ちょ古っ都製本工房」(4票)となり、やはり少部数の印刷に対応しているサービスが多く選ばれていました。

「印刷業者を選ぶ際に最も重視するポイントを教えてください」という質問では、「コスト、費用」が90票で最多となりましたが、注目したいのは、僅差で二番手となった回答「要望に答えてくれるかどうか」(88票)です。


図表6:印刷業者を選ぶ際に最も重視するポイント

個人で発注する以上、予算が限られておりコスト面を最重視することは当然といえるでしょう。しかしほぼ同数の人が「要望に答えてくれるかどうか」を業者選びのポイントとして挙げています。

印刷といっても方法は無数にあります。「活版印刷でアナログな雰囲気に仕上げたい」とか「箔押しで高級感のあるものに」「トレーシングペーパーに印刷したい」など、こだわればどこまでもこだわれるのが自主制作本です。

まとめ

インターネットにアクセスすればどこでも作品を発表できるようになったいま、せっかく自分で作ったものをわざわざ本のかたちにするのだから「安く作って広くたくさん売るよりも、こだわって作り届けたい人に届くようにする」ほうが、個人で活動する多くのクリエイターにフィットしたスタイルになってきているのではないでしょうか。

個人向け印刷製本サービスも、安さと早さだけではなく、クリエイターのこだわりを叶えるサービスとして一層成長していく必要があるかもしれません。

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